銀行ローンも自主規制を強める傾向に

消費者の借り過ぎを防ぐために設けられた総量規制。年収の3分の1を超える借入れがある場合、貸金業者から新たに借りることができません。銀行ローンは当てはまらないとされていましたが、2017年10月から自主規制が始まりました。この記事では総量規制について詳しく解説します。
総量規制とは
総量規制とは、2006年改正の貸金業法に基づいて貸金業者(消費者金融やクレジットカード会社)に課せられている規制です。銀行は貸金業者ではないので除外されていましたが、2017年11月以降は業界団体の要請にこたえる形で自主規制を始めました。
利用者の借入額が年収の3分の1を超えている場合、貸金業者は新たに貸し付けることが禁止されています。また1社で50 円、複数社あわせて100万円を超える貸付けをする場合は、源泉徴収票など利用者の収入がわかる書類の提出を受ける義務があります。
利用者から見ると、貸金業者から年収の3分の1を超えて新たに借り入れることができないということです。年収300万円ならば、貸金業者から受けられるローンやキャッシングの上限は100万円になります。
例:年収300万円(最大借入額100万円)の場合
現在の借入状態 | 新規借入の可否 | 備考 |
---|---|---|
A社から80万円 | 20万円まで可 | A社から新規借入する場合は源泉徴収票の提出が必要 A社以外から20万円未満(合計100万円未満)の借入を受けるなら源泉徴収票は不要 |
30万円(A社) 30万円(B社) 40万円(C社) 3社から合計100万円 |
不可 | 返済が進めば再び新規借入が可能に |
A社から120万円 | 不可 | 超過分の20万円をすぐに返済する必要はない |
総量規制における年収とは「額面」のこと
収入額の表示方法には「額面」と「手取り」の2種類があって、年収だとかなり大きな差がうまれます。総量規制の基準となるのは「額面年収」です。
額面収入というのは、税金や積立金などが差し引かれる前の、純粋な収入のことです。サラリーマンなら「基本給+残業代+交通費+諸手当など」の合計額(総支給額)です。一般的に「月収」「年収」という場合、額面収入のことを指しています。
手取り収入というのは、額面収入から税金や積立金などを差し引かれた、実際にわたしたちの口座に振り込まれる収入のことです。「額面収入ー(社会保険+厚生年金+所得税+住民税+企業による積立金など)」で、勤務先によって引かれる額は違いますが、だいたい額面の8割程度だといわれています。
額面月収30万円なら月々の手取り(実際に貰える額)は24万~25万円程度です。額面年収は360万円(+ボーナス)で、手取り年収は300万円前後になります。総量規制は額面の「360万円(+ボーナス)」を基準に行われるので、借り入れられる最高額は120万円(+ボーナスの3分の1)になります。
総量規制が導入された理由とは
最初に貸金業法(旧「貸金業の規制等に関する法律」)が施行されたのは1983(昭和58)年です。その後2003(平成15)年と2006(平成18)年に改正されました。
2018年5月現在の貸金業法は2006年末から施行されているものです。グレーゾーン金利の廃止、ヤミ金対策、そして貸金業の適正化に重きが置かれています。総量規制は貸金業の適正化を進めるための重要な決まりです。
貸金業法改正以前は年収による借入額の制限はなく、貸金業者による審査にすべてがゆだねられていました。「返済能力がある」と貸金業者が判断すれば、年収300万円の人でも200万円以上借りることができたのです。これは明らかに過剰融資、貸し過ぎです。
また当時はグレーゾーン金利で運営している貸金業者がたくさんありました。高い金利と返済能力を超えた借入れが重なった結果、多重債務者が激増。同時に自己破産件数も増加し(ピークの2003年には法人も含めて25万件を超えました)、社会問題となりました。
総量規制とは、多重債務者や自己破産者をこれ以上増やさないための規制なのです。
総量規制の「除外」「例外」とは?
総量規制には「除外」と「例外」が存在します。
除外される貸付けは総量規制の対象にならず、総量規制の貸付残高に含まれません。代表的なものは不動産を購入するための貸付け(住宅ローン)や、自動車購入時の自動車担保貸付け(マイカーローン)です。
例外にあたる貸付けは、除外と違って総量規制の貸付残高に含みます。しかし返済能力があると判断された場合に限り、例外規定で収入の3分の1を超えて借り入れることができるのです。急に医療費が必要になった場合や、おまとめローンに借り換える場合などに適用されます。
銀行ローンも総量規制に含まれるようになった
貸金業社は貸金業法によって規定されていますが、銀行は銀行法によって規定されています。つまり銀行からの貸付け・借入れは総量規制の対象外なのです。
これまで借入残高が年収の3分の1を超えてしまった人が新たに借り入れる場合は、銀行のカードローンを利用していました。法的に問題がなく金利も貸金業者より低いため、人気がありました。
しかし日本弁護士連合会(日弁連)の要請に応じ、2017年11月からは銀行も総量規制に準ずる自主規制を導入しました。銀行のカードローンという“抜け道”がある限り、多重債務状態に陥る人が出るからです。
年収の3分の1を超える貸付けを行わなくなったほかにも、無収入の人(仕事をしていない専業主婦や、年金受給者)への貸付けを自粛し、ローンの審査を厳格化、即日融資も停止されることになりました。2018年1月に完全施行済みです。
まとめ
総量規制は消費者(貸金業者や銀行の利用者、借り手)を守るための規制です。多重債務とそれに伴う自己破産を防ぐために必要な法律です。どうしても避けられない急な出費は、総量規制の例外で対応できます。今後の新規借入れはおまとめローンに1本化されます。借り過ぎにはご注意くださいね。








